タナゴ釣り師 先人達の言の葉 「針の選択」 [◆タナゴ師達の言の葉]
私が研ぎ針を他人にも見せられるようなカタチになってきた頃、研ぎの名師の方へ私の粗針を見てもらう。
師は「良い針」を研ぐことで周知されており、伝統ある会の例会では近年優勝も果たしている達人でもある。
師は私の針を見るなり「うん」と一言。
そして呟くように「後は針先。スケールルーペを使うと良い。」と助言をくれた。研ぎ針の仕上がり云々の話は一切なかったので、良いのか?悪いのか?拍子抜けしたが、助言の意味は分からないままであった。
その後、私はタナゴの数釣りに挑戦した。
この日は豆サイズから大型サイズまでランダムに喰ってくる。
アタリの出方や走りも一定していないそんな状況が続いた。
数を伸ばす為には、サイズの大小に関わらずとにかくタナゴを揚げ
なくてはならない。その為には小さすぎる針は駄目、大きすぎても駄目。
調度良い大きさを合わせないとカラツンが増え数が伸びないのだ。
針が合ったとしても、次第に針先が甘くなってくる。
針が痛んだり、喰い方に合わせたりとその時の状況で針を交換した。
手元に用意した研ぎ針は19本。この中から合った針を選択する。
しかし、選択とはいっても闇雲に針を交換し当たりの針を使う。
「チョイス」とか「経験」などと言えば聞こえが良いが、
根拠の無い場当たり的な選択である。
1回目の交換では4本の針を試し、2回目の交換では3本を試した。
針を交換する手間だけではなく、針が合っているか実釣で確認していく。
針を状況合わせるのに随分と時間を要した。
釣りを終え、いくつか反省点が見えた。
その中で針交換に掛けた時間の無駄もあった。今後、改善するには・・・。
そこで答えとして、針先の長さを計り、長さ別に針を揃えておき、
状況に合わせ瞬時に選択をするという所に辿り着く。
その時、冒頭で師がおっしゃっていた“針先”“スケール”
というキーワードに結びついた。
そう、師は競技で腕を磨き上げた方。その経験から発せられたことは、
私のような余暇をつぶす者とは違う視点から見た言葉だった。
1本の針の出来云々は勿論、「長時間魚を揚げ続ける為の全ての動作」を
スムースに行えるかという視点で見ていた。
タナゴの数釣りに挑戦することで、偶然に広がった視野。
これが、私の感じている雑魚道だと思う。
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